ひと昔前に比べて「うつ病」という言葉の認知度は上がってきています。
ただし、うつ病の症状や原因をしっかり理解できている人は多くないでしょう。
会社では、
「”うつ病なんか”気持ちがたるんでる奴がなるんだ。甘えだよ甘え」
と、ドヤ顔する上司もいますよね。
「根性を出せば治る、気合いだ、気合いだ、気合いだ~」とわめく輩もいます。
お前はアニマル浜口か。
でもこれは冗談ではなく、とてもよくある話です。
病院で、患者さんが働いている会社の上司と面談する時など、
「○○君の病気は怠け病ですよね?休みたいだけでしょう。」
と、本気で言ってくるケースは少なくありません。
「うつ病は脳の病気なんですよ」と、いくら説明しても納得してもらうことは非常に難しいのです。
やはりメンタル系の疾患だと、レントゲンやCT、エコーなどの目で見える結果で証明できないのが大きな原因です。
しかも、メンタル疾患は症状に波がありますよね。
時には体を動かせたり、出掛けられる日もあります。
そんなケースでは「なんだ、遊びに行ける位元気じゃないか」と思われることもしばしばです。
でも、甘えで骨が折れたり、腫瘍が出来たりしないのと同じで、うつ病と甘えには何の関係もありません。
ですので、いくら気合を入れても脳の異常が治ることはないですし、うつの症状が改善するなんてあり得ないです。
うつ病になって苦しんでいるのに、
「お前本当は甘えてるだけだろ」
「これくらいはできるでしょ?」
などと言われたら、どんなに辛いことでしょうか…
しかも家族や同僚など、自分の味方だと思っていた人に言われてしまったら、本当に打ちのめされてしまいます。
心無い言葉を投げかけられ、協力もしてもらえない。
このような状況では治る物も治りません。
そればかりか余計にストレスがかかり、症状が悪化する原因になってしまいます。
そんな状況でも、少しでも早く病気を改善するためには重要なことが2つあります。
それは、
① 理論的に治療を行う
② 周囲の理解は期待しない
ということです。
2つとも難しいことではありませんし、何か特別なことをする訳でもないので心配はいりません。
そして私はいつでもあなたの味方です。
安心して治療に取り組んで回復してくださいね。
では順番に説明していきます。
うつ病を理論的に治療する
うつ病は甘え、気合では治らない病気です。
ではなぜうつ病になってしまうのでしょうか?
残念ながらうつ病の原因について、いまだにはっきりしたことはわかっていません。
「うつ状態はセロトニンやノルアドレナリンなどのモノアミン神経伝達物質の低下によって起こる」、というモノアミン仮説は有名ですし、いま使われている抗うつ薬のほとんどは、このモノアミン仮説に基づいて作られています。
しかし、薬の効果が実感できるまで時間がかかったり、抗うつ薬だけでなく、統合失調症に使う薬に反応する人がいたりするので、現在ではモノアミン仮説そのもの疑問を持つ専門家が殆どです。
原因がわからないのに、理論的に治すなんて無理じゃん。
このウソつき野郎。
確かに原因についてはわかっていませんが、うつ病を改善する治療法についてはたくさん研究されています。
ずっと飲んでるよ。
全然効かねぇ~し
そうなんですよね。
実は、抗うつ薬は重度のうつ病にしか効果がないのが実証されています。
軽度から中等度のうつ病にクスリは有効ではありません。
軽度の場合は使用することすら推奨されていません。
クスリに効果がないならどうすればいいの…
と不安になったかもしれませんが、大丈夫です。
クスリ以外に効果が実証された治療法がちゃんとあります。
それは”運動療法”です。
うつ病の運動療法
運動療法といっても難しいことではありません。
ざっくり言えば有酸素運動です。
例えばこのようなもの👇
この人は結構気合が入ってますね。
ウォーキング、ジョギング、自転車、エアロビ、ボクササイズなどの有酸素運動でうつ病を改善する効果がアップします。
ウォーキングと聞いてあなたは、
医者にも歩け歩けってさんざん言われたし。
でもあんまり効果なかったけど…
と思ったでしょう。
でも、もう少しお付き合いください。
運動しても改善しなかったのは、間違った方法でやっていたからです。
ですがあなたの責任ではないです。
と言うのも、殆どのメンタル系の医者は正しい運動方法を知りません。
知らないのに闇雲にウォーキングを勧めるので、せっかく一生懸命取り組んでも改善しない患者さんが多いのです。
うつ病の運動療法をはじめて治療指針に取り入れたのはアメリカですが、世界中で運動療法の効果を実証する研究結果が報告されています。
治療効果を発揮させるためには次のようなポイントがあります。
① 週に3~4回の有酸素運動
② 1回30分から1時間程度
③ 少し息が上がるくらいの運動強度
このポイントを守れば、どんな種類の有酸素運動でも大丈夫です。
しかし、
「③」を意識しないと、いくらたくさんやっても効果が出ません。
つまり、負荷の少ない運動を長時間やっても改善しないということです。
そして必ず最低3か月は継続しましょう。
最初から効果が感じられなかったとしても気にしなくて大丈夫です。
正しく継続すれば結果はついてきます。
運動が習慣化できたら、それにプラスして呼吸法を練習してください。
呼吸法は運動療法と同じように、うつ病の症状を改善するのに役立ちます。
うつ病に対する呼吸法
👆このような姿勢を作る必要はありません
呼吸は自然に行っているものですが、
意識をしてゆっくり深く呼吸し、心身をリラックスさせるのが呼吸法です。
複式呼吸、胸式呼吸、丹田呼吸など様々ありますが、
・ゆっくり息を吐く
・ゆっくり息を吸う
ということさえ意識すれば十分です。
体の細胞が活性化するには何が必要ですか?
酸素ですよね。
病気を治すには、良い血流と十分な酸素が必要です。
うつ病やパニック障害では、知らず知らずのうちに呼吸が浅くなっている場合が多いです。
呼吸が浅ければ、脳に行く血流量も、酸素量も少なくなります。
すると脳に誤った信号が流れてパニック発作が出たり、過度にストレス反応が出てしまいます。
呼吸法を練習することで、普段の呼吸も深くゆっくりになります。
そうすれば交感神経を過剰に働かせないようにできるのです。
以上がうつ病に対する運動療法と呼吸法の説明でした。
これらの治療法はエビデンス(根拠)のあるものですので、コツコツ続けていくことで必ず成果が出ます。
安心して続けてください。
ですが、せっかくあなたが努力していても、心無い言葉を言ってくる人もいることでしょう。
「差別と偏見のない社会を」
「病気の人にやさしい世の中にしよう」
なんていう理想論を言っていますが、現実はそのようにはなりません。
「うつは甘えでしょ?」
「本当は動けるんでしょ?」
ただでさえ身体が弱り、精神的に落ち込んでいるあなたに対して、こんな酷い言葉を投げかけてくる人もいます。
本来なら家族や会社の同僚は、あなたの味方になってくれるはずの存在です。
ですが現実には、家族、友人、上司、同僚から心無い言葉を言われ、余計に症状を悪化させる方が多いです。
やはり自分がうつ病になったことがない人には、
この苦しさは到底理解できません。
「この辛さをわかって欲しい」
「やりたいのに出来ない悔しさを理解して欲しい」
「もっと気遣ってくれてもいいのでは…」
というあなたの気持ちは、痛いほどわかります。
でもそれは現実には無理です。
あなたもうつ病になるまでは、その辛さを本当に理解していなかったはずです。
病気の人を見ても、「なんとなく大変そうだな~」程度しか感じなかったはずです。
そして結局病気と向き合うのは本人。
仮にあなたの辛さを理解してくれる人がいたとしても、あなたに代わって病気を改善させることはできません。
ですから周囲に期待してはいけないのです。
周囲の理解を期待しない
社会にこれだけ認知されたうつ病ですが、症状や辛さは”なった者”でなければ理解できません。
ですので、
「甘えるもいい加減にしてちょうだい」
「家にいるなら少しは役に立つことして」
「ホントは怠けたいだけなんじゃない?」
などの心無い言葉をかけられることもあります。
そんな時、誰もわかってくれない…、周囲の理解が得られない…と考えてしまいますよね。
実際その通りです。
誰もあなたの辛さなどわかりません、理解もできません。
他人の辛さや気持ちが手に取るようにわかる人なんていないのが当たり前です。
仮に辛さをわかってもらえたとしても、病気がよくなるわけではありません。
だからそんなことを期待しても仕方ないんです。
それに今あなたがやるべきことは、周りの理解を得ることではないですよね?
そうです、あなたがやるべきことは病気の治療です。
周りに何を言われても気にしてはいけません。
言わせておけばいいんです。
あなたはうつ病を改善させることだけに集中してください。
でも、周囲に理解してくれる人や味方がいないのは辛いと思います。
心配はいりません。
私はいつでもあなたの味方です。
焦らず確実に回復させてください。
まとめ:根性・気合では治らないので理論的に治す
「絶対治したい」「必ず改善させる」という気持ちはとても重要です。
でも根性・気合ではなく、淡々と理論的な治療を積み上げていくことが、結果的に症状を改善する近道です。
そして、辛い症状を持ちながらもリラックスできる楽しみを持つのも重要なこと。
何もしないで休む時は休む、
エクササイズする時はきっちり行う、
美味しいものを食べたり、面白い動画をたり、1つでも楽しい時間を作る。
生活にメリハリを付けて、正しいことをコツコツ行っていれば必ず成果は出ます。
焦ることなく今できることを続けていきましょう。
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フリーランスカウンセラー:「K」
病院での臨床経験は約20年。
自身も重度のうつで3年間寝たきり生活を経験。
現在はフリーのカウンセラーとして活動中。
幼い頃からずっと犬と暮らす愛犬家です。
主にメンタル疾患、職場の悩みなどの相談を解決します。
~シリーズ うつ病~ 👇
PART1.うつ病が治らない人の特徴。コレをやっている人は永遠に治りません
PART2.うつ病になったあなたの苦痛を少しでも減らす為にやって欲しいこと
PART3.うつの正しい過ごし方「テレビを観てゴロゴロしてたら絶望的!治す為に必要なのはコレ」