ペットロスは動物を愛する人なら誰にでも起こりうるものです。
ペットを亡くして苦しんでいる方で、「こんなに苦しいのは私だけなんじゃないか」という人もいらっしゃるでしょう。
ですが、愛する者を喪った人なら決して避け通ることができないものなのです。
ペットロスとは、愛するペットと別れる喪失体験のことを言います。
この死別の悲しみから、心や身体に不調をきたすことを一般的にペットロス症候群と呼んでいます。
「ペットロス」という言葉自体は社会的にも認知されてきましたが、正しく理解している人はまだまだ少ないです。
そのため「動物を溺愛している人だけがなる病気」のように言われたりもします。
心無い人は「たかがペットのことじゃないか」などと言ったりもします。
そのような言葉を浴びせられることで余計に心が苦しくなるのがペットロスの大きな問題でもあります。
ペットと人間では姿は違いますが、命は同じ命です。
軽い・重いはなく、命の尊さに変わりはありません。
ペットロスに苦しむのは、外見や言葉の壁を越えて、ペットをかけがえのない存在になるほど愛した優しい人です。
愛情が深いほど悲しみは大きくなりますので、心身に不調をきたしてしまう方もいらっしゃいます。
ペットロスの辛さはすぐに癒えるわけではありませんが、客観的にペットロス症候群がどのようなものかを知ることで、少しばかり心に余裕ができる場合もあります。
このページでは、ペットロスでみられる心身の症状と適切な対処法について紹介していきます。
Contents
ペットロスで見られる身体的症状と対処法
泣く
愛する者との別れでは、こんなにも涙がでるのかというほど涙が溢れ出てきます。
亡くなった時のことや元気だった頃のことを思い出して泣いたり、後悔や自分を責める想いや罪悪感で涙することもあります。
泣くという行為は、気持ちを落ち着けたり、興奮しすぎた感情を抑えようとする人間に備わった機能です。
ですので泣きたい時には我慢せずに泣いた方がいいです。
中には「いつまでも泣いていたらあの子が成仏できないよ」と言ってくる人もいます。
悪気はなく、励ますつもりで言っているのでしょうけれど、そのような言葉で余計に辛くなることもあります。
周りからの言葉を気にする必要はありません。
悲しいから泣くのです。
泣きたい時は素直にないてもいいんです。
参考:「犬が死んだ…悲しい…」なぜ愛犬の死はこんなにも苦しいのでしょうか
ただし、自分を責めたり後悔の涙は良くありません。
亡くなったあの子はあなたを責めたりしませんよ。
「ありがとう」と言っていますので、あなたも自分を責めるようなことはやめましょう。
不眠、睡眠障害
ペットロスで眠れなくなる方はたくさんいます。
亡くなった子のことを考えて眠れなくなるのは当然です。
寝付くことはできても、悪夢にうなされたり、無意識に身体に力が入ったり、動悸がして目が覚めることもあります。
これらは自律神経の交感神経が興奮して起きる症状で、通常は時間の経過とともに徐々に改善されていきます。
一番の対処法は身体をゆっくり休めることです。
無理をしたり、過度に心配すると余計症状がひどくなることもありますので、寝不足の時は会社や家事をお休みして身体を休めるようにしてください。
食欲がない、食べすぎる
愛する者を亡くしたショックで食欲がなくなったり、「自分だけ食べるのが申し訳ない」と拒食してしまうことがあります。
その反対にストレスから食べすぎの状態になるのも珍しくありません。
その結果、急激に痩せたり太ってしまったりして健康を害するケースもあります。
あなたはペットが健康に過ごせるように、毎日美味しい食事を食べさせていたはずです。
今はあの子があなたの健康を案じています。
無理をする必要はありませんが、身体を壊さないようにしっかり食べてくださいね。
その他
悲しみや辛さは大きなストレスになりますので、その結果手足の震えが出たり、めまいがしたり、耳鳴りの症状が出る場合もあります。
これらは「心と身体が疲れているんだよ」と、自分の身体が教えてくれているサインです。
一番の対処法は無理をせずに身体を休めることです。
「はやく立ち直りたい」
「気持ちを切り替えなくちゃ」
と焦れば焦るほど症状が悪化することが多いです。
色んな身体の症状が出て心配になることもあるでしょう。
でも症状や程度の違いはあれども、愛する者を亡くした人なら誰にでも起こりうるものです。
通常は時間の経過と共に改善していきますので、ゆっくり身体を休ませてくださいね。
ペットロスで見られる精神的症状と対処法
不安、孤独感
ペットは私たちに幸せを与えてくれます。
いつも一緒にいるのが当たり前になっていたり、精神的な拠り所であったペットを喪うと不安や孤独感におそわれるのは当然のことです。
「自分だけこの世に取り残されてしまった」
「あの子のことろに行きたい」
と思う人もいらっしゃるでしょう。
でもあなたは一人ではないんです。
あの子はあなたのことを置きざりにして、どこか遠くに行ってしまったのではありません。
あなたのことをちゃんと待っています。
それに目には見えませんが、いつも近くで見守っていてくれますよ。
参考:犬は死んだらどこに行くのか?天国は遠いところではなく心の中にある
周囲の理解が得られずに「私の悲しみを誰もわかってくれない」と孤独を感じる人もいるかもしれません。
でも誰か一人くらいはわかってくれる人がいるはずです。
自分だけで抱え込まずに、現在の辛い心境を話すだけでも、ペットロスを乗り越える第一歩になります。
誰かに話すだけでもずいぶんと心が楽になります。
後悔、罪悪感
「もっと早く病院に連れて行っていれば…」
「あの時仕事に行っていなければ…」
と自分を責めてしまう人は多いです。
後になって考えれば別の選択肢があり、そちらを選べばあの子が生きていたのではないか、自分の判断が間違ったせいで亡くなってしまったのではないかと後悔するのは仕方ありません。
でもいくら違う選択をしたとしても、命の時間は初めから決まっていますので結果を変えることはできないんです。
「もっと一緒に遊んであげればよかった」
「私じゃない飼い主さんと出会えばよかったのに」
という罪悪感を感じる人もいます。
これも後になってからわかることであって、その時はペットのことを大切に思って接していたはずです。
別れは急にやってくるものなので仕方がないことなんです。
それでもあなたに思い当たることがあるのなら、「ごめんね」と謝れば許してくれますよ。
あの子はあなたが大好きなので恨んだり憎んだりしません。
「今で一緒にいてくれてありがとう」
と感謝しているんです。
後悔や罪悪感を感じるのは仕方ありませんが、それで自分を責めるのはあの子も望んでいません。
それよりも、出会えたこと、一緒に暮らせたことの感謝を伝えてあげると喜びますよ。
参考:「死んだ犬に謝りたい」愛犬を喪った悲しみと後悔で苦しんでいる方へ
怒り、恨み
もしも誰かの過失でペットを亡くしてしまったら、その相手への怒りや恨みがこみあげてくるのは当然です。
それが自分の家族であったとしても、攻撃的な感情をぶつけたり、厳しく当たってしまうことがあります。
「あなたが玄関を開けっぱなしにしたから」
「何でちゃんと見ていなかったの」
怒りや恨みはなかなか消えるものではありません。
そして相手にいくら当たったとしても、気持ちが晴れることもないです。
それがわかっていたとしても、怒りや恨み、憎しみを消すのはとても難しいことです。
ただし、人間は「許す」こともできるのです。
あなたのことが大好きだったあの子はどう思うでしょうか?
もちろん怒りや憎しみを抱き続けるあなたを嫌いになったりはしません。
でも、もしもあなたが相手を許してあげたならば、きっとあの子も誇らしく思ってくれるはずです。
参考:亡くなった犬の気持ち。あの子はどんなことを思っていたのか?
抑うつ状態
ペットロスでは「心にぽっかり穴が開いてしまった」ような喪失感を感じたり、目の前の現実が現実と思えない感覚になることがあります。
そして亡くなったペットのことばかり考えて、何も手に付かず、何もやる気にならない状態になってしまうことも珍しくありません。
今までずっと一緒に過ごしていたペットを喪えば、気持ちが落ち込み、何もやる気にならないのは人間として当然な反応です。
無理にやる気を出す必要はありません。
しばらくは自然に身を任せ、何もしない時期があってもいいんです。
一日中泣いていても構いません。
ずっと横になっていてもいいです。
自分がしたいように、自分の気持ちに素直になってください。
あなたの苦しみはあなただけのもので、誰かが代わってあげられるものではないです。
ですのであなたが楽になれる状態で過ごすことが一番重要です。
ただし、場合によっては意欲低下がひどくなり、うつ病を引き起こす人もいます。
生活に支障が出たり、自分でもおかしいと感じるようならメンタルクリニックなどに相談しましょう。
一人で抱え込まないことが大切
人によっては、亡くなったペットの声が聞える気がしたり、姿が一瞬見えたような気がすることもあります。
夜になると布団に入ってきたような感触がしたり、「明日目が覚めたら帰ってきているのではないか」という気分になることもあります。
これらは人間の脳が作り出した錯覚あるいは、幻覚・妄想などの精神症状のようなものです。
心身の疲労、ストレスによって起きるものですので、身体を十分に休ませることが大事です。
参考:亡くなった犬に会いたいと思っている方へ。亡くなった愛犬に会う方法
ただし、気配を感じるのは亡くなったペットが近くに来てくれているサインかもしれません。
せっかく来てくれたのですから、「ありがとう」と伝えてあげましょう。
あの子もあなたに「ありがとう」と言っていますよ。
このページではペットロスで見られる症状についてお話しました。
「このままずっと辛い症状が続くのではないか?」と不安な方もいらっしゃると思います。
こちらのページにペットロスが癒える過程をまとめてありますので参考になさってください。
→辛すぎるペットロスの乗り越え方。愛する者を喪った悲しみが癒える過程(編集中)
ペットロスは愛する者を喪った人なら誰でも経験することですが、苦しさを一人で抱え込むのはよくありません。
理解のない人や心無い言葉を投げかけてくる人がいるのは事実です。
でもあなたの悲しみをわかってくれる人は必ずいるはずです。
現在の辛い心境を誰かに話すことがペットロスを乗り越える第一歩になります。
フリーランスカウンセラー:「K」
病院での臨床経験は約20年。
自身も重度のうつで3年間寝たきり生活を経験。
現在はフリーのカウンセラーとして活動中。
幼い頃から犬と一緒に暮らす愛犬家です。
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ペットロスで苦しい想いをしている方へ
ペットを喪った悲しみはなかなか消えることがありません。
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